【県病だより】アドバンス助産師を知っていますか?
2024.07.18 更新
青森県立中央病院には、様々な資格を持って、医師とともに医療を支える医療従事者がいます。
今回はアドバンス助産師を紹介します。
助産師として常に新しい知識を取り入れつつ、標準的な助産ケアを自律して提供できる能力を持った専門家として、日本助産評価機構から「CLoCMiP(クリニカルラダー)レベルⅢ認証制度」の認証を受けた助産師がアドバンス助産師と呼ばれます。
当院では、13人が認証を受けており、妊産婦さんとそのご家族や支援者となる方等を対象に、主に周産期領域において主体的な立場で助産ケアを行います。
※周産期とは、妊娠後期(妊娠22週)から早期新生児期(生後満7日未満)までの期間をいいます。
(助産外来の様子)
産科・産婦人科外来に所属するアドバンス助産師に聞きました。
当院でのお産の傾向、それに伴うアドバンス助産師の関わり方
分娩数が年々減少しているなか、帝王切開術の割合が4割弱、母体搬送件数は2割となっています。また、里帰り出産は2割弱です。
当院には合併症をもった妊婦さんが多く紹介されてくるため、『県病に通院、入院』というだけで心配という思いを抱く方もいます。妊婦さんやご家族、周囲の方々に、安全に妊娠・分娩を終え、新しい家族の始まりを家族皆で迎えられるような支援を行っています。
助産ケア外来は、アドバンス助産師が担当しています。個別のニーズに応え助産ケアの範囲であればなんでも対応しています。例えば、妊娠中の過ごし方、日常生活の注意点やお産への不安に関するアドバイスなどです。
(助産ケア外来の様子)
ある日のスケジュール
8:15 対応患者カンファレンス
9:00 助産外来
(妊婦健診、保健指導、経腹超音波実施、内診、NST)
10:00 状況に応じて妊婦健診の実施
12:00 昼休憩
14:00 助産ケア外来
育児指導、授乳指導など対象妊婦さん(夫も含む)のニーズに応じた支援
15:00 看護記録
15:30 周産期情報室保健師と情報交換
17:00 帰宅
(アドバンス助産師会議)
患者さんとの印象的なエピソード
合併症のある妊婦さんと夫に妊娠初期から関わり、妊娠経過に伴う夫婦それぞれの不安に対して支援しました。
出産後は沐浴や授乳などの育児技術習得のために退院前に夫にも宿泊していただき(夫の宿泊は特例です)、不安無く夫婦で育児を行っていけるように関わりました。できなかったことができるようになり、夫婦とも笑顔で退院したときは「良かったなぁー!」と思いました。
アドバンス助産師のやりがい、むずかしいところ、気を付けている点
- <やりがい>
助産ケア外来で支援していた人が無事分娩して退院したとき
妊婦さんとそのご家族への支援体制を整えて、その後、楽しく子育てをする姿を見られたとき - <気をつけているところ>
妊娠中から長期間関わっていくので、信頼関係を築くための言葉づかい、説明の仕方などに気をつけている。 - <難しいところ>
100人の妊婦さんがいれば助産ケアも100通りで、何一つ「同じ」支援がない。
毎回個別性に応じた専門的な助産ケアを展開できるように頑張っています!
アドバンス助産師になるための要件
アドバンス助産師の認証取得のためには、以下の要件を満たし施設内での承認を受けます。
- 5年以上の助産師実践経験があること
- 必須研修21項目を受講すること
- 分娩介助や健康診査など指定の例数以上を実施すること
- 指定学術集会に1回以上参加すること
その後試験を受け、合格すればアドバンス助産師と認証されます。
勉強会や研修
院内に助産師に特化した能力段階別の教育・研修がなかったため、2020年から当院で助産師クリニカルラダーを導入し、産科病棟看護管理者を中心に助産師のキャリア支援に取り組んでいます。
レベルが上がるにつれて施設外の研修に参加し経験を積みます。時間も費用もかかりますが、自己研鑽に積極的なのがアドバンス助産師です。
資格取得を目指している方へのアドバイス
社会で求められる助産師の役割は変化しており、多岐にわたります。特にウィメンズヘルス関連の支援は、女性に対してきめ細やかな関わりが必要となります。
院内でアドバンス助産師の認証取得に向けて取り組むことで、必要な知識や専門の関係者とのつながりも広がります。当院は県内でもアドバンス助産師が多く在籍いるので、アドバンス助産師とともに認証取得に向けて挑戦してみませんか。
採用情報
青森県立中央病院では、看護師(助産師)の募集を行っております。詳しくは採用情報をご覧ください。
また、リクルートサイト『Join Us』には、看護師をはじめ、初期研修医、専攻医、医療技術職員の情報を掲載しているほか、勤務条件や採用日程などについてもご覧いただけます。