【県病だより】令和6年度 青森県周産期医療学習会が開催されました
2025.01.16 更新
令和6年12月21日(土)に令和6年度青森県周産期医療学習会が開催されました。
今回は、函館中央病院から小児科医師、看護師2名、医療ソーシャルワーカーの計4名の講師を招いて『周産期からはじまる児童虐待予防』をテーマに行われ、青森県内の周産期医療施設や小児医療施設の職員、自治体母子保健担当職員や児童福祉関係職員等、約70名(ハイブリッド開催)が参加しました。
発表テーマ
『エンパワメントすることで私たちも変わった ~院内の点が輪になっていった歴史を振り返る~』
<発表者1>
小児科科長 兼 こども子育て支援室室長 石倉 亜矢子 先生
小児科医の視点から、虐待の早期発見・対応から予防的介入へのシフトという先進的な取り組みを紹介されました。病院内の「こどもとおとなの権利擁護委員会」での多職種連携定例検討会や、地域の多分野・多機関と共に学びあう「チャイルドファーストはこだて」の活動が、函館の児童虐待予防につながっていることをイメージできる熱いお話でした。
<発表者2>
NICU・GCU 山本 史恵 看護師長
道南唯一の総合周産期母子医療センターとして、NICU・GCUの看護の視点から、記録ツール「ファミリーケアシート」による情報の可視化により、経験年数に左右されない家族支援のサポート体制が構築されたことについて紹介されました。面会者の宿泊不可対策として、宿泊なしの母児同室「プレ同室」に取り組み、週1回の院内検討会や個別性を考慮した評価による退院調整、月1回の地域との母子支援地域連絡会議による多職種連携を継続して、家族支援の視点を増やすという手厚く優しい看護を展開されている様子がわかりました。
<発表者3>
小児病棟 齋藤 史 看護師長
スタッフの成長を促す研修プログラムの導入により、小児病棟看護師の視点の変化と共通認識が、児童虐待対応の予防的介入及びスタッフ間の良好な関係性構築にも効果があることを紹介されました。研修プログラム受講後は、院内連携の強化、チャイルドファーストの視点で他職種と協同する行動変容、退院後の生活を見据えて地域につなぐアプローチがみられているということで、函館中央病院の受講者延数の多さに驚くと共に、大変興味深い内容でした。
<発表者4>
こども子育て支援室主任 医療ソーシャルワーカー 藤井 三四郎 氏
子ども子育て支援室の機能や、院内CPT(子ども虐待対応チーム)・多職種による定例(週1回)院内検討会・院内研修会の事務局運営から見える、地域ぐるみの連携構築について、MSW(医療ソーシャルワーカー)の視点で紹介されました。ケースワークのハブ的役割を担うため、病棟ラウンドや産婦人科外来棟からの紹介ケースへの早期介入など、MSWならではのフットワークを活かし、予防的視点で多分野との連携を行うことが、地域のレベルアップにつながることが分かりました。
参加者の感想
- 妊娠期からの関わりがいかに重要であるかを痛感いたしました(助産師)
- 押し付け合うのではなく、重なり合うイメージで支援しないといけない(精神保健福祉士)
- 医療現場で、予防的な関わり、子育て支援を行っていると聞き、とても驚きました!地域でも頑張ります(保健師)
- 函館中央病院の皆さんの情熱と包み隠さない本気のメッセージに大変、感銘を受けました(理学療法士)
- 熱心な先生が一緒に会議に入っていただけるのはとても心強いと思います(看護師)
- もっと小児科の先生方にも参加してもらいたかったですね(医師)
- 実例をいくつか紹介してほしかった(医師)
- 当院としても実際に直面し、試行錯誤している分野でもあったので大変勉強になりました(社会福祉士)
(前列左から石倉先生、山本看護師長、齊藤看護師長、藤井氏、後列中央 当院成育科 網塚成育科部長、他院内参加スタッフ)