取り組み
取り組み
1)報告の推進
インシデント、アクシデント報告は、個人の行動の振り返りと再発させない組織体制を構築するための大切な報告です。
中でも、未然に防げた事例や「おかしい」と事前に気がつけた事例を「いいね報告」として積極的に職員へ公開しています。また、インシデント・アクシデントの他に、合併症、スタットコール、RRT要請、患者相談など、現場の状況を把握し、迅速に対応できるように、報告をすることを推進しています。
【「いいね報告」の一部を紹介】
①既往歴に関節リウマチ、糖尿病のある患者さんが緊急入院しました。内服薬もお薬手帳も持参されていません。看護師は内服についての確認を繁忙のため失念していました。患者さんは翌日からリハビリテーション開始となりましたが関節痛を訴え、症状に疑問をもった理学療法士は薬剤師に問合せしたところ、入院後からリウマチの薬を内服していないことが判明しました。疑問を感じてすぐに対応した、理学療法士の「いいね報告」事例です。
②看護師は、1回3錠を内服している患者さんの与薬準備中に、薬の残数が3で割り切れないことに疑問を持ち、前の勤務の記載を確認すると、1錠過少に与薬していたことが判明しました。「自分が与薬する数だけ合っていればよい」だけではなく、マニュアルにはないセルフチェックにより気づけた「いいね報告」事例です。
【その他の報告】
合併症報告
- (24時間以内の)予期せぬ再手術(内視鏡治療も含めてすべて)
- 手術時の大量出血(70mL/㎏以上の出血、予定よりRBC-LR5単位以上使用)
- 術後の予定していないハイケアユニットへの入室
- 予定外の気管内挿管チューブの未抜管・人工呼吸器管理
- 予定外術式の施行(予定しない臓器の摘出、血管・神経・臓器の損傷、尿管・血管・神経などの吻合)
- 手術時間の予期せぬ延長(3時間以上)
- 術後の重篤な感染症:縫合不全、膿瘍、縦隔炎、膿胸、難治性の創感染などでIVRや再手術を要したもの(JCOG術後合併症基準:Clavien-Dindo分類でグレード3以上のもの)
- 内視鏡検査や治療中の消化管穿孔、重症膵炎など
- 心臓カテーテル検査やIVR後の心タンポナーデ及び輸血や手術が必要となった血腫形成、出血
- 中心静脈穿刺に関連した合併症:動脈穿刺、気胸などで処置(IVRや手術、ドレーン留置を要したもの)
- 肺塞栓症でショック状態を呈したもの(人工呼吸器・PCPS管理を要したもの、血栓除去術を要したもの)
スタットコール事例
スタットコール:呼吸停止や心停止などで一分一秒をあらそう緊急時に起動されるシステムで、院内放送により院内滞在中の医師が招集され対応する。(夜間は別途対応)
RRT要請
RRT要請:状態悪化、重症化が懸念される場合に起動要請基準をもとに起動されるシステムであり、専用PHSへのコールでRRT(院内迅速対応チーム)が駆けつけ対応する。
患者相談処理報告
患者さんや家族からの相談報告を受けて、患者支援委員会にて協議します。
2)医療安全研修会の開催
医療事故防止のために各種研修を実施し、職員の安全管理意識の向上、相互の連携を図っています。
特に、各部署・部門のリスクマネージャーを対象に現場リスクマネージャーの研修を実施し、安全文化の醸成に一役を担って頂いています。
医療安全必須研修会について
年2回、全職員に参加義務のある必須研修会を開催しています。当日参加できなかった職員は、集合研修の他、DVD研修、e-Learningを受講しています。
テーマ | 受講人数(受講率) | |
---|---|---|
第1回必須研修会 (Safety Plus動画視聴) |
・医療安全の基本を知る-取り違え- ・患者確認と指差呼称 ・医療事故調査制度 |
1650名(94.8%) |
第2回必須研修会 (集合研修・県病アカデミー) |
安全に関わるコミュニケーションについて |
1251名(75.2%) |
医療安全必須研修会
令和5年度は、コロナ禍以来初の外部講師による集合研修を開催しました。
3)医療事故調査制度について
医療事故調査制度の趣旨に基づき、院内協議(外部委員を含む)を実施し、報告することに取り組んでいます。
また、死亡カルテレビューから、予期しない死亡も監査しています。
4)急変・緊急対応の整備
①スタットコールの発動・RRT要請の推進
②アナフィラキシーショックの対応
③採血・注射・点滴行為における末梢神経損傷の対応[PDF 540KB]
④館内のAED、12誘導心電図などの配置図[PDF 525KB]
5)広報
職員に対して、「医療安全NEWS」を発行し、当院の医療安全の現状や動向、事故防止の方策、医療安全に関する話題を掲載し、最新の情報を発信しています。院内の研修会の報告、特に注意すべき事象についても、文書や院内ポータルを利用して、注意喚起をしています。
患者誤認防止対策の一環として、患者さん向けのメッセージを外来ホールのパネルに表示しています。