BRCA1/2遺伝子検査
BRCA1/2遺伝子検査
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BRCA1/2遺伝子検査とは
がんの薬物治療では、がんのタイプに応じて主に抗がん剤(化学療法)やホルモン剤(内分泌療法)、がん細胞の増殖にかかわる特定の分子(タンパク質)に対して働く薬(分子標的薬)を使用します。
BRCA1/2遺伝子検査は、BRCA1またはBRCA2遺伝子におけるがんの発生に関わる変異の有無を検査します。その検査結果に基づいて治療の選択肢としてある種の分子標的薬を加えられるかどうかを判断するために行われます。
◎BRCA遺伝子の働きと遺伝子の変異
細胞の中にあるDNAは、紫外線や化学物質の刺激によって、日常的に傷がついていきます。BRCA遺伝子は、DNAを修復することで、がんの発生を抑える働きをもっています。BRCA遺伝子に病的な変異があると、その働きが機能しなくなることが知られています。
BRCA1/2遺伝子検査の対象
下記に該当する患者さんは本検査を保険診療にて受けることができます。
- 再発または転移性の乳がん患者さん
- 初発の進行卵巣がん患者さん
- 治癒切除不能な膵がん患者さん
- 転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さん
- 乳がんを発症しており、以下にあてはまる方
>45歳以下で乳がんを発症
>60歳以下でトリプルネガティブ*¹乳がんを発症
>2個以上の原発性乳がんを発症
>第3度近親者内*²に乳がんまたは卵巣がん発症者がいる - 卵巣がん・卵管がんおよび腹膜がんを発症している方
- 男性乳がんを発症している方
- 腫瘍組織プロファイリング検査で、BRCA1または/かつBRCA2の生殖細胞系列の病的バリアント(変異)保持が疑われる方
なお、保険診療の対象ではありませんが(自費診療となります)、以下の方は本検査が推奨されております。
◯発症、未発症に関わらず、(本人以外に)すでに家系内でBRCA1または/かつBRCA2の病的バリアント(変異)保持が確認されている*³
この場合には当該変異のみの検査となります(シングルサイト)。
*1 トリプルネガティブとは、がん細胞にホルモン受容体(エストロゲン受容体:ER、プロゲステロン受容体:PgR)とHER2というタンパク質が存在しないタイプの乳癌です。
*2 第3度近親者内の範囲:父母、きょうだい、異母・異父のきょうだい、子ども、めい・おい、おじ・おば・祖父・祖母、大おじ・大おば、いとこ、孫など
*3 家系内でBRCA1/2遺伝子に病的バリアント(変異)を保持していて、検査実施を希望する場合は、その方の検査結果の書面が必要になります。
BRCA1/2遺伝子検査の費用
BRACAnalysis診断システム(検査費用) 保険点数2,020点(202,000円)
保険診療の自己負担が3割の方の場合、検査費用は60,600円です。
検査費用の他に外来受診料、遺伝カウンセリング料なども必要です。
なお、本検査を自費診療で受ける場合は、遺伝カウンセリング料等も自費となります。
シングルサイトの検査(自費)はお問い合わせください。
外来予約・受診方法
詳細は、外来予約・受診方法をご確認ください。
- 当院は日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)の遺伝性乳癌卵巣癌総合診療基幹施設として認定されています。
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)が疑われる場合、遺伝カウンセリングを実施します。
遺伝カウンセリングの際には、HBOCという遺伝性疾患の概念をしっかり理解していただいたうえで、検査を受けるかどうか考えていただきます。
BRCA1/2の病的変異が認められた場合は、その後の予防的対策についてご説明し、BRCA1/2の病的変異が認められなかった場合でも、意義不明の変異 (VUS) や検査の限界などについての理解を深めていただくためにご説明いたします。 - 「BRCA遺伝学的検査に関するデータベース作成」へのご協力のお願い
当院では遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)症候群の原因解明と将来のよりよい治療法の開発のために皆様にご協力をいただき、「BRCA遺伝学的検査に関するデータベースの作成」の研究を行っております。
本研究は昭和大学乳腺外科の中村清吾教授が統括研究代表者を務める多施設共同研究で、一般社団法人日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構の家系登録事業として実施しています。
対象となる方へは診察時にお話しさせていただきますので、本研究への参加をご検討ください。