【県病だより】救急医は地域医療の最後の砦 ~新人救急医の奮闘~
2023.08.31 更新
青森県立中央病院の救命救急センターは、青森県の県都に設置された唯一の救命救急センターです。現在、常勤医師が9名、診療看護師(NP)1名、看護師40名、救急救命士4名が所属しています。
今回は4月から同センタースタッフの一員となった新人救急医、外崎医師の日々の業務の様子を紹介します。
現在、外崎医師は救命救急センター(ER)で救急車の受け入れ業務、救急集中治療室(EICU)などの集中治療室での治療計画立案、一般病棟管理を行っており、また、週に1度は内科/外科当直を担当しています。外科専攻医でもあることから、手術適応の場合には上司である救命救急センター長と手術を行う場合もあります。
(重症患者の気道管理をしている様子)
とある1日のスケジュール
8:00 EICU・ICU・HCUなどの集中治療室回診
8:15 朝カンファレンス(前日の当直で診た症例の振り返りと報告をします)
9:00 創処置外来(ERで傷の処置をしたものは救急医が外来でフォローしています)
9:30 救急車の対応
※ERは当番制で、午前と午後に分かれて医師を配置しています。
12:30 昼休憩
13:30 病棟回診
15:00 病棟カンファレンス
16:00 カルテ記載
16:45 帰宅
※ドクターカー、ドクターヘリで搬送されるような緊急の症例など、重症の患者さんが運ばれてきた際には救急医を集めて診療にあたります。
(診療看護師と共にエコーを実施している様子)
※診療看護師(Nurse Practitioner:NP)は大学院の修士課程において、医学の知識と初期医療に関する実践を修了した看護師
多くの診療科の中で救急医を選んだ理由について
「救急」が一番かっこよくて魅力的な分野だと思っているからです、それに尽きます。
また、これからの時代必ずなくてはならない分野だと実感しているからでもあります。
瞬時に患者さんの情報を把握して、必要な治療を判断し実行に移す、それにより重症化を未然に防ぎ、次の治療につなげることが可能になります。
また、その後の集中治療も救急医が指揮をとることが多いのでそこも頑張りどころと考えています。
経験を重ね、患者さんへの初期対応の正確性やその後の専門医への引継ぎをスムーズに行うためにも、他科の先生方と同じ判断や手技ができるようにトレーニングをするのも救急医としての醍醐味かなと思います。
(研修医と共に傷の洗浄をしている様子)
印象に残っていること
自分が夜間一人で心肺停止の患者さんを診たときです。
ある日、若い方の心肺停止が続けて2例運ばれてきたときがありました。一人はECMO(体外式膜型人工肺)を導入、一人は手術のために大学へ搬送、そういった状況でした。一人では手が足りない上に、重大な判断が必要でした。非常に混乱しましたが、上司とスタッフの協力により、どちらの症例も滞りなく次の治療につなげることができた経験でした。
まさにチーム医療を実感できた瞬間でした。
救急医として大事にしていること
救急医は地域医療の最後の砦だと思っています。
地域に住む赤ちゃんからお年寄り、また、重症軽症にかかわらずどんな人にも誠心誠意対応したいと考えています。分け隔てなく診療し、それができる救急医というのは非常に優しい存在だと考えています。
(原子力災害医療機能別訓練に参加した様子)
所属長の石澤センター長から
外崎医師は救急外科、外傷外科、集中治療を専門とするAcute Care surgeonになりたいと当院の救急科専門医プログラムに応募してくれました。救急科専門医と外科専門医の両方の取得を目指しています。現在、総合診療部に入院する救急症例の他に外科緊急手術も担当し修練をしています。将来の青森県の救急医療、災害医療の中心を担う医師に成長してもらいたいと思っています。
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