県病ゲノム検査室がCAP認定 ~世界水準の品質で検査を提供~
2023.08.16 更新
青森県立中央病院は、平成30(2018)年よりがんゲノム医療連携病院として、遺伝情報に基づいたがん治療を受けられる体制を整備してきました。その一環として、臨床および研究において遺伝子検査の結果を診療に用いるため、国際基準に準拠したゲノム検査室を開設しました。
ゲノム医療部・部長およびゲノム検査室・室長である北澤 淳一先生と専任の臨床検査技師2名が業務を行っているゲノム検査室は、令和5(2023)年3月にCAP(米国病理医協会;College of American Pathologists)の認定を取得しました。CAP認定とは、世界45ヵ国、7,600施設以上の臨床検査室が取得しているもので、世界標準の手順で検査を実施していることの証になります。すでに国内で健康保険適応のある検査だけでなく、自費診療の対象となる新しい検査についても品質が保証されますので、がんゲノム検査を受ける患者さんが安心・安全な医療を受けられることにつながります。
※国内202ヶ所のがんゲノム医療連携病院の中では全国初の認定です。
(CAP認定証)
北澤部長とスタッフのインタビューから
ゲノム検査を実施する設備やCAP認定取得には、2017年12月に「県立中央病院の医療の充実、発展に役立ててほしい」としていただいた寄付金の一部が活用されています。その期待に応えるべく、少しでも早く県民の皆様にがんゲノム医療をお届けしたいという気持ちで取り組んでまいりました。
現在ゲノム検査室で実施している主な検査は、特定の抗がん剤に対する副作用の危険性を予測する検査、血液腫瘍の診断を補助する検査、肺がんや甲状腺がんに対して特定の治療薬の効果が期待できるかどうかを判定する検査です。これらはいずれも健康保険適応のある検査になります。今後は、より幅広いニーズに応えるべく、自費診療の検査も含めて実施できる検査項目を増やしていく予定です。
CAP認定についてリモート取材を受ける様子
(右前:北澤淳一部長 左前:臨床検査部 三上技師長)
以前よりは改善しているものの、2020年の青森県民の平均寿命は男女ともに全国最下位でした。そして、青森県民の死因として最も多い悪性新生物(がん)は増加傾向があります。しかし、がん治療は進歩を続けている分野であり、がんと診断された方の約半数は10年後も生存できる時代になっています。そのため、臨床検査を通じてがんを早期発見することや、がん患者さんを適切な治療に結びつけることが大事で、それにより青森県の平均寿命もさらに改善していくことが期待されます。
ゲノム検査室が取得したCAP認定では、皆さんご存じのSDGs(Sustainable Development Goals)にも通じるような継続性も求められています。患者さんに正確な検査結果を届けることと並行して、ゲノム検査にかかわるスタッフの育成にも力を入れ、継続的に質の高い検査を提供できるようにしていきたいと考えています。