【県病だより】救える命のもとへ ~フライトナース Part.1~
2023.07.13 更新
青森県立中央病院は、ドクターヘリの基地病院のひとつです。
昨年度の出動は346件あり、ほぼ1日1件のペースで出動しています。
従来、重篤な患者は、病院到着後に治療を開始していました。しかし、治療開始時期が遅れ、助けられない命がありました。いち早く治療を開始するために、医師・看護師が現場におもむき、治療しながら病院に搬送するのがドクターヘリです。
今回は、ドクターヘリに搭乗し、フライトドクターとともに救急医療を必要とする患者のもとへ向かい、命の最前線で活動するフライトナースについて2回にわたって紹介します。
(フライトナース(奥))
現在、当院には7名のフライトナース(1名がトレーニング中)が活動しています。
Part.1では、フライトナースの業務をはじめ必要な持ち物、搬送事例や当院でフライトナースの要件などについて紹介します。
搭乗について
ドクターヘリは、医師、看護師、機長と整備士の4名で運航します。他にトレーニング中の医師や看護師が搭乗することもあります。
毎朝、乗務に関する打合せであるブリーフィングや搭乗準備を終えると、救急外来・EICUでの業務にあたりますが要請があればすぐに出動するため、フライト担当日は補助業務となります。要請から出動までは5分ほどです。
気象条件でヘリが運休の場合でも、天候回復による運航再開や、消防からのドクターカー要請にも対応するため、365日、必ず専従で勤務します。
(ブリーフィングの様子)
現場での動き
フライトナースは、医師の治療や処置のサポートが中心となります。
救急隊をはじめとする他職種と連携を図りながら、ヘリによる搬送が安全に行われるように、患者の状態を考慮して調整する役割を担います。
患者への接触から搬送までの短時間のうちに、治療や処置、患者・家族への看護、記録、安全管理などが同時進行で行われるため、状況に合わせた対応力、冷静な判断力や行動力が求められます。
また、患者・家族、救急隊員などとのコミュニケーションがとても重要になります。
フライトナースの持ち物
①IP無線
②フライトナース携帯
③フライトナースPHS
④医療用ポーチ
(ポーチには、薬剤や血管確保のための物品をすぐ使えるように工夫して収納している)
当院で搬送が多い事例や特徴
脳疾患、心疾患、転落外傷、交通外傷、CPA(心肺機能停止)など事例は多岐にわたります。
雪国にある基地病院の特徴として、雪による外傷(雪下ろしによる転落やウィンタースポーツ)があげられますが、全国的には少ない新生児の搬送も、総合周産期母子医療センターのスタッフと連携して行っています。
勉強会について
年に1~2回、フライトナース勉強会があります。全国のドクターヘリ基地病院のフライトナースが開催病院に参集(あるいはWeb参加)し、さまざまなテーマについて情報交換や意見交換をしています。
当院でフライトナースを目指す場合
当院でフライトナースを目指すには、必要な要件を満たした看護師がフライトナースを希望した場合、申請書を提出して、審査の後に訓練の開始が承認されます。
求められるのは、看護師として基本的な知識・技術はもとより、フライトドクターや運航スタッフ、病院外での救急隊や家族と良好に関係を築くコミュニケーション能力、状況を冷静に判断して行動できる判断力・行動力などになります。
(フライトナースの訓練の様子)
次回Part.2では、フライト担当日のスケジュールやフライトナースへのインタビューなどを紹介します。
採用情報
リクルートサイト『Join Us』には、看護師をはじめ、初期研修医、専攻医、医療技術職員の情報を掲載しているほか、勤務条件や採用日程などについてもご覧いただけます。