経営実績
「県立病院第2期チャレンジプラン~ポストコロナに向けて~」の策定について
病院局では、「青森県保健医療計画」及び「青森県地域医療構想」において求められている県立病院の役割・機能に適切に対応し、更なる成長とポストコロナ時代における持続可能な地域医療提供体制を確保していくための新たな経営計画として、「県立病院第2期チャレンジプラン~ポストコロナに向けて~」(以下「第2期チャレンジプラン」という。)を策定しました。
第2期チャレンジプランでは、県立中央病院及び県立つくしが丘病院の目指す姿の実現に向け、計画期間である令和5年度から令和8年度までの4年間において、病院局が一丸となって取り組む方策を定めています。
県立中央病院では、県全域を対象とした高度急性期病院で、かつ県内唯一の県立総合病院として、より質の高い高度・専門・政策医療の提供のほか、県民が住み慣れた地域で安心して医療・介護を受けられる体制の構築を目指し、5疾病・5事業・新興感染症などの各種診療の高度化や地域における切れ目のない医療・介護の提供体制の構築に向けて取り組むこととしています。
県立つくしが丘病院では、県内唯一の県立精神科病院として、他の設置主体では対応困難な患者の受入れを強化しながら、患者の円滑な地域移行と社会復帰を促進していくことを目指し、多職種による質の高い入院医療の提供に取り組むほか、患者の状態やその家族の状況に応じた外来医療と訪問支援の提供に取り組むこととしています。
また、チャレンジプランの取組方策に係る具体的な取組内容と計画期間内の取組工程を定めた実施計画を策定し、毎年度、取組状況を点検するとともに、必要に応じて見直しを行いながら、チャレンジプランの着実な推進を図っていきます。
取組方針
県立中央病院 | 県立つくしが丘病院 |
【目指す姿】 ○より質の高い高度・専門・政策医療の提供 ○地域における切れ目のない医療・介護提供体制の構築 |
【目指す姿】 ○他の設置主体が対応困難な患者の受入体制の構築 ○患者の円滑な地域移行と社会復帰 |
1 役割・機能の最適化と連携の強化 | |
A 高度・専門・政策医療の提供 B 良質で安全な医療サービスの提供 C 地域医療支援と医療・介護との連携強化 |
H 多職種による質の高い入院医療の提供 I 多職種・施設間連携による外来医療と訪問支援の展開 |
2 医師・看護師等の確保と働き方改革 | |
D 良質な人材の確保・育成と専門能力発揮に向けた体制構築 | J 人材の確保・育成と働き方改革 |
3 新興感染症の感染拡大時等に備えた平時からの取組 | |
E 新興感染症への対応 | K 新興感染症への対応 |
4 施設・設備の最適化 | |
F 施設・設備の適正管理及びデジタル化への対応 | L 施設・設備の適正管理及びデジタル化への対応 |
5 経営の効率化等 | |
G 経営基盤の強化 | M 健全経営の推進 |
また、第2期チャレンジプランの取組方策に係る具体的な取組内容と計画期間内の取組工程を定めた実施計画を策定し、毎年度、取組状況を点検するとともに、必要に応じて見直しを行いながら、第2期チャレンジプランの着実な推進を図っていきます。
県立病院チャレンジ(挑戦)プラン2019の取組状況について
県立中央病院では、「県立病院チャレンジ(挑戦)プラン2019」の計画実現のための具体的な方策である「県立病院チャレンジ(挑戦)プラン2019実施計画」を作成しています。
実施計画に掲げる取組状況については、病院事業管理者ヒアリングを実施するとともに、外部有識者等で構成される「県立病院経営評価会議」で、評価を行っています。
実施計画には、各年度の取組の実施状況を取りまとめているほか、達成困難と思われる取組については、見直し等を行っています。
- 県立病院チャレンジ(挑戦)プラン2019実施計画【平成31年3月策定】
- 県立病院チャレンジ(挑戦)プラン2019実施計画【令和3年2月策定】
- 県立病院チャレンジ(挑戦)プラン2019実施計画【令和4年2月策定】
- 県立病院チャレンジ(挑戦)プラン2019実施計画【令和5年2月策定】
- 県立病院チャレンジ(挑戦)プラン2019総括(令和元年度~令和4年度)【令和6年2月】
経営状況について
青森県立中央病院の経営状況は、以下の表のとおりです。
令和3年度は、医業収益が244億2,216万円余で、前年度と比較して約12億9千万円の増となっています。これは、新型コロナウイルス感染症の影響等により入院患者数が減少した一方で、外来患者数が増加したことや高度専門医療の充実に係る取組などから、入院・外来とも、1人1日当たりの診療単価が前年度より向上したことなどが要因となっています。
また、医業費用は266億5,946万円余で、前年度と比較して約13億9千万円の増となっています。これは、退職給付費の増加に伴う給与費の増や、高度・先進医療の提供に必要となる高額薬品や高額診療材料等の材料費が増加したことなどが要因となっています。
(単位:千円)
項目 | 平成29年度 | 平成30年度 | 令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | 前年比 |
---|---|---|---|---|---|---|
病院事業収益 (①) |
27,974,081 | 26,880,222 | 27,520,068 | 28,281,177 | 29,226,886 | 103.3% |
医業収益 | 22,487,975 | 23,547,481 | 24,084,117 | 23,129,351 | 24,422,164 | 105.6% |
医業外収益 | 3,486,107 | 3,332,740 | 3,435,951 | 4,774,829 | 4,804,722 | 100.6% |
特別利益 | 2,000,000 | ー | ー | 377,000 | ー | ー |
病院事業費用 (②) |
25,923,679 | 26,859,729 | 27,322,718 | 27,265,025 | 28,288,319 | 103.8% |
医業費用 | 24,682,733 | 25,433,282 | 25,765,113 | 25,273,516 | 26,659,456 | 105.5% |
医業外費用 | 1,240,946 | 1,426,447 | 1,557,605 | 1,614,509 | 1,628,863 | 100.9% |
特別損失 | ー | ー | ー | 377,000 | ー | ー |
当年度純損益 (①-②) |
2,050,402 | 20,493 | 197,350 | 1,016,152 | 938,567 |
※千円単位で表示しているため、端数が合わない場合がある。
一般会計からの繰入金について
当院は、救命救急センターや総合周産期母子医療センター等の政策医療のほか、がん診療等の高度専門医療を提供しています。
これらの政策医療や高度専門医療の中には、現行の診療報酬だけでは必要な経費を賄うことが困難なものがあり、また、医療水準を維持・向上させていくためには、継続的に人的・物的投資を行っていく必要があります。
これらの医療部門の運営費や、施設・医療機器等の設備投資に必要な財源について、地方公営企業法に基づき、一般会計が負担する経費として、病院事業会計に繰入が行われています。
今後も、効率的かつ効果的な病院経営を目指しつつ、県内唯一の県立総合病院として期待される医療を提供していきます。
(単位:千円)
項目 | 平成29年度 | 平成30年度 | 令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 |
---|---|---|---|---|---|
収益的収入 | 1,929,253 | 1,871,211 | 2,056,449 | 3,424,642 | 3,595,849 |
資本的収入 | 623,960 | 640,420 | 577,452 | 849,913 | 698,905 |
合計 | 2,553,213 | 2,511,631 | 2,633,921 | 4,274,555 | 4,294,754 |
青森県立中央病院将来構想の策定について
青森県立中央病院は、将来のあるべき医療提供体制の実現に向けて、「青森県地域医療構想」(以下、「地域医療構想」という。)に示された役割・機能に適切に対応していく必要がある中、院舎は築37年以上経過し、老朽化とともに建設当時の想定を超えた医療技術の進歩などにより、高度化・多様化する医療ニーズへの対応が困難となりつつあります。
こうしたことを踏まえ、病院局では、地域医療構想を推進していくために必要な医療機能等を備えた病院としての目指す姿をまとめた「青森県立中央病院将来構想」(以下、「将来構想」という。)を策定しました。
将来構想では、病院の目指す姿として5つの柱を掲げていますが、その実現に向けて、「急性期医療、専門医療、政策医療機能の拠点整備」、「持続可能な病院経営体制の構築」、「連携・ネットワーク強化のための体制づくり」の3つのテーマについて具体的に検討を進めることとしています。