青森県立中央病院

ワクチン接種後抗体価推移研究 (中間第 3報)

2022.04.19 更新

青森県立中央病院 臨床検査部、病理部、薬剤部、中央採血部、感染管理室

【目的 】

我々は、新型コロナウイルスワクチン(以下、ワクチンと記載する)の効果を確認する目的で、ワクチン接種前、1回目・2回目ワクチン接種後(1週、4週、3月、6月)に経時的に抗体価を測定して報告してきた。今回、3回目ワクチン接種直前と3回目ワクチン接種4週後の抗体価を測定したので、今までの抗体価の推移を検討したので報告する 。

【対象 】

青森県立中央病院(薬剤部、臨床検査部、病理部、感染管理室)でファイザー社製新型コロナウイルスワクチン接種を受けた職員 。

【方法 】

  1. 検体採取(採血)
    研究参加に同意を得た職員から、ワクチン接種前、1回目ワクチン接種後1週、2回目ワクチン接種後1週・4週・3月・6月・8月(3回目ワクチン接種前週)、3回目接種後4週で採血 。
  2. 検査方法 以下の2抗体について、メーカー指示書に沿って測定した。
    (1)IgG型 S抗体
    オーソ社ビトロス® SARS-CoV -2 S1 Quant IgG抗体試薬を使用した。
    SARS-CoV-2のスパイク(S)タンパク質、特にほかのコロナウイルスとのアミノ酸配列の相同性が低いS1を標的とする抗体のうち、IgG 抗体を測定する。S1はウイルスが細胞に侵入する際に必要な受容体と結合する重要な部位。
    (2)抗 SARS-CoV-2抗体
    Roche社 Elecsys® Anti-SARS-CoV-2 S RUOを使用した。
    ヒト血清および血漿中のSARS -CoV-2スパイク(S)タンパク質の受容体結合ドメイン RBD)に対する抗体(IgG を含む)を定量的に測定。
  3. 検討項目
    上記の抗体それぞれにおいて、以下を検討する。
    ① 血漿療法における製剤選択基準(アメリカ)による値(IgG型 S抗体は 110BAU/mL以上、抗 SARS-CoV-2抗体は132U/mL以上 )を有効域と定義し、有効域、有効域未満の人数をみる 。
    ② それぞれの抗体価の推移をみるために基本統計量を算定した 。
    4.倫理的配慮
    当研究については、青森県立中央病院倫理審査委員会の承認を得て実施した。

【結果 】

1.IgG型 抗S抗体

①有効域率・非有効域別人数
①有効域率・非有効域別人数

②定量結果の推移
②定量結果の推移

③定量結果の推移(数値)

②1回目
1W
③2回目
1W
④2回目
4W
⑤2回目
3M
⑥2回目
6M
⑦2回目
8M
⑧3回目
4W
平均 <2.0 2917.53 2014.73 409.55 178.86 119.51 2444.53
標準偏差 ND 1180.59 1083.45 316.63 139.31 101.01 1306.12
中央値 <2.0 3270.00 1720.00 318.00 149.00 80.80 2100.00
最高値 7.8 4000.0 4000.0 1660.0 696.0 494.0 4000.0
最低値 <2.0 212.0 516.0 59.1 29.9 18.4 360.0

 単位はBAU/mL

  • 2回目ワクチン接種 1週目で抗体価が最も高く、 4週以後経時的に低下し、 8月では半数で有効域以下であった。
  • 3回目ワクチン接種により抗体価上昇がみられ、 2回目接種 4週より 3回目接種 4週の 方が高かった。

2.抗SARS-CoV-2 抗体

① 有効域率・非有効域別人数
①有効域率・非有効域別人数
② 抗体価の推移 
②定量結果の推移

③定量結果の推移(数値)

②1回目
1W
③2回目
1W
④2回目
4W
⑤2回目
3M
⑥2回目
6M
⑦2回目
8M
⑧3回目
4W
平均 <0.4 2997.59 1762.96 1052.63 754.39 650.39 11422.45
標準偏差 <0.4 2556.39 1524.53 828.81 652.34 592.24 2148.09
中央値 <0.4 2310.00 1367.00 811.00 548.00 468.50 12500.00
最高値 <0.4 12280.0 7861.0 4770.0 3567.0 3564.0 12500.0
最低値 <0.4 54.9 289.0 168.0 124.0 95.4 3920.0

 単位はBAU/mL
 

  • 2回目ワクチン接種 1週目で抗体価が最も高く、 4週以後経時的に低下した。
  • 3回目ワクチン接種により抗体価上昇がみられ、 2回目接種後より 3回目接種 4週の 方が著明に増加した。

【考察 】

  1. IgG 型S抗体について
    過去に公開した検討と同様に、SARS-CoV-2血漿療法に用いられる製剤の選択基準の値を有効域下限と設定し、それ以上を有効域になる、それ以下を有効域以下と判定した。
     
     過去に報告したIgG型S抗体について、3回目接種直前に有効域であったのは検討した96人中36人であり、前回報告した「抗体分布研究」と同様な結果となった。また、3回目ワクチン接種後に有効域であったのは検討した92人中92人であり、3回目ワクチン接種は有効であったと考えられる。
     
    今回の検討では抗体価の検査値を示した 。3回目ワクチン接種4週に対応する2回目ワクチン接種4週とで抗体価を比較すると、測定上限値である4,000 BAU/mLを超える検体がより多く観察され、中央値で比較すると3回目ワクチン接種4週の方がやや高かった。今回は検討しなかったが、3回目ワクチン接種1週はさらに高かったことが推測される。今後の抗体価の低下については不明であり、今後の検討課題である(予定では、3回目ワクチン接種後4月に採血を予定している)。
  2.  

  3. 抗 SARS-CoV-2抗体
    今回の検討では、初めてこの試薬を用いて検討した。この試薬で検出される抗体は、IgG 型を含むSタンパクのRBDと免疫反応する抗体を測定しており、ウイルス自体の活性を中和する抗体(中和抗体)を含んでいる。有効域率を見るとIgG型 S抗体と異なり、2回目ワクチン接種6月・8月でも、有効域にない検体はそれぞれ1検体、4検体と少なかった。しかし、抗体価を見ると、検出上限の12,500U /mLを超える検体が半数以上であり(中央値が 12,500 U/mL mL)、2回目ワクチン接種後1週・4週のいずれと比較しても著明に高 かった。データは示さないものの、中和抗体を測定する試薬による検討では、この抗 SARS-CoV-2抗体と中和抗体の推移は類似しており、3回目ワクチン接種後の抗体価については中和抗体の著増を反映してると予想される。すなわち、この検査結果からも3回目ワクチン接種は有効であったと考えられる。上記IgG型 S抗体と同様、今後の抗体価の低下については不明であり、今後の検討課題である。

【結論】

3回目ワクチン接種により、有意な抗体価上昇観察された(ブースター効果)。諸家の報告を参考にすると、ワクチン接種により重症化予防、発症予防の効果は維持され、3回目ワクチン接種が推奨される。
3回目ワクチン接種後の抗体価の低下については今後の検討課題である。

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