うとう心臓友の会とは、おもに青森県立中央病院で心臓血管の手術を受けた方、ご家族の集まりであります。
他の病院で手術を受けられた方やカテーテル治療、薬物治療の方でもかまいません。
まずは会のあらましをご紹介させていただきます。
昭和61年(ちょうど私が医学部を修了した年でありますが)、情報交換や患者さん同士の励まし合い、また当時は血液依頼準備の問題もあり発足されました。
いまではテレビ、週刊誌、書籍、インターネット、病院広報誌などさまざまな方面から医療情報が得られ、日赤の血液供給事業も質(肝炎ウイルス問題)・量(マイナスの血液型も苦労することはほぼありません)ともに充実、さらには心臓血管手術成績の大幅な進歩とあいまって、患者さんに当時ほど苦労をかけずに治療を行えるようになっていると思います。
しかし、今でもやはり心臓手術が必要だといわれればたいていの方は不安におもうことでしょうし、手術後りっぱに社会復帰をなしとげバリバリ働いている方、のんびり悠々自適の生活を送っている方、病気は残っているけれども上手につきあい一生懸命生きている方、そんな先輩の姿をみて勇気つけられる人も多数おられるのではないでしょうか。
友の会の主な会合は年に2度あります。6月に総会があり、ここで事業報告の他に医学講座として心臓血管の病気や治療、医療一般、はたまた医療政策批判など毎年1-2名のドクターがお話をさせていただいております。
また、講座のあとは患者さんから日ごろ気になっている健康上の質問をお受けして、お答えしております。本年も県民福祉プラザをお借りして昼食をともにしながら行われました。
もうひとつは初秋の野外活動で、ここ2-3年はバスをチャーターして日帰り温泉三昧というものです。
お昼には必ず医学講義がありますので、ただのお遊びと誤解しないでください!昨年の集合写真を掲載させていただきました。
さて、私自身、はじめて参加する前はちょっと面倒だなと思ったことがありました。(すんません、友の会の方、お許しください。正直な人間なんです。)
しかし、友の会のみなさんと青い森公園で待ち合わせてバスに揺られ、食事をし、温泉に入る頃にはこれはぜひ私以外の若い医者も参加するべきだと考えるようになりました。
脛(すね)ならぬ、胸に傷(きず)もつ方々がぞくぞくと胸をはって湯船に足を運んできます。
診察室で傷をみることはあっても、いっしょのお風呂で傷を拝見するのは生まれてはじめてで、迫力もあり感慨深いものがありました。
リラックスした雰囲気の中で感謝の言葉をいただき医者という職業を選んでよかったと思うこともあれば、また逆に、医療側からすると小さなことに思えることも患者さんのほうでは大きなことであったのだときづかされることも多数あります。
会員のかたの中にはもう10-30年前に手術を受けられた方もおられ、最近自分自身で手術をさせていただいた方もこの先長く健康であればよいなという思いを強く持ちますし、手術中この一針(いっしん)をおろそかにはできないという覚悟も強くします。
このような思いはいくら論文を一生懸命に読んでも得られないものでしょう。
はじめは患者さんどうしの互助会的意味合いではじまった会でありますが、現在私の中では【患者が医者を育てる会】と理解しております。
入会案内等は 青森県立中央病院心臓血管外科外来(電話:017-726-8150)または8階東循環器病棟においてありますので、気軽におたずねください。