Ⅰ.放射線診断
1.研修の基本方針
各modality の特徴、各臓器の解剖、各疾患の病態生理をよく理解し、論理的な診断を心がける。原則として、モニターによるWet readingを行う。指導医による再読影後、検査結果は、即時、依頼科にWeb配信される。
2.研修計画
1)各種単純X線写真読影
2)各Modalityの原理の理解
3)各種造影法の理解と副作用に対する対策
4)CT、MRIの適応、読影の基礎知識の習得
5)血管造影の適応、読影の基礎知識の習得
6)CR、DSA、CT、MRI等デジタル画像処理の診断への利用法の理解
7)放射線防護、医療被曝に関する基礎知識の習得
8)核医学
①RI取扱法の習得
② 各種RIイメージングの適応、実行、診断の実際の習得
③ 各種RI動態検査の適応、実行、解析の基礎知識の習得
④ 放射線防護、医療被曝に関する基礎知識の習得
Ⅱ.インターベンショナル・ラジオロジー(IVR)
1.研修の基本方針
治療の目標は患者が“Normal life”をできる限り長く送れることであり、”Anatomical cure”のみではない。総合病院である利点を生かし、他科での治療との比較としてのIVRを意識させ、治療対象とする患者にとって、最良の治療はなにかを考えつつ、他科との密接な協力のもとに診療させる
1)各臓器の解剖、生理、血管解剖及び各疾患の病態生理を理解する。
2)現時点でのその手技の禁忌と適応を学ぶ。
3)患者の手技前の評価、必要十分な術前画像診断を学ぶ。
4)X線テレビ装置、DSA装置、超音波装置の原理、システム、使用法を学ぶ。
5)半覚醒麻酔薬剤の薬理とそれに伴う合併症、治療を学ぶ。
6)造影剤の薬理、アレルギー反応の発見と対処法を学ぶ。
7)蘇生法、初期合併症に対する対策、処置を学ぶ。
8)放射線防護の原理、患者及び医療従事者に対する被爆による障害、監視等の
必要事項を学ぶ。
9)各臓器の血管撮影法を習熟する。
10)インフォームドコンセント、倫理、薬事法、臨床治験等を学ぶ。
11)各Deviceの特徴、使用法を学ぶ。
12)術後の患者管理、特に合併症の発見とその対処法を学ぶ。術後の患者の適切な経過観察、
画像診断を学ぶ。
13)新しいIVR治療についての研究、過去の症例の成績等をまとめ、学会発表、論文作成を行う。
1年次と2年次で上記を研修しつつ、原則として、IVRは指導医とともに助手として施行する。3年次からは、確立された、比較的簡単な手技は術者として、これを施行する。
Ⅲ.具体的研修計画
上述した基本方針はいずれの手技にも共通する事項であるため、各手技に特に重要、で学ぶべきことを記す。
1.血管系IVR
1)動脈塞栓術
①固形塞栓物質、液体塞栓物質の理解とその使用法。
②安全なCoaxial法の施行法。各Microcatheter、Microguide wireの特徴と適切な使用法。
③Balloon catheter等を用いた適切なFlow control法。
④Dagerous vesselsのprotection法。
⑤塞栓物質が迷入した場合の除去法。
⑥適当なPain control法。
2)PTA
①各PTA balloon catheter の種類、特性の理解とその適切な使用法。
②術前の画像診断、血管径の計測法、IVUSの使用法。
③線溶系に対する十分な理解、術中、術後の抗凝固療法、抗血小板療法。
④解離、閉塞等の合併症に対する対処法。
⑤術後患者の経過観察法。
3)血管ステント・ステントグラフト
大動脈ステントグラフトは心臓血管外科で行っている。当科では、主に末梢動脈瘤治療の補助療法として行っている。
①各ステントの種類、特性の理解とその適切な使用法。
②術前の画像診断、血管径の計測法、IVUSの使用法。
③線溶系に対する十分な理解、術中、術後の抗凝固療法、抗血小板療法。
④解離、閉塞、瘤の術中破裂等の合併症に対する対処法。
⑤術後患者の経過観察法。
4)動注化学療法
骨盤内悪性腫瘍に対するBOAI, 肺癌に対するBAI, 肝悪性腫瘍に対する動注リザーバー留置術等を行っている。
①抗がん剤の薬理、使用法、副作用の理解とその対策。
②Balloon catheterの種類とその特徴、使用法。
③FPC等血管閉塞用coilの種類とその特徴、使用法。
④安全かつ効率的な血流変更法。
⑤術創の処置と合併症に対する対策。
5)下大静脈フィルター
①深部静脈血栓症、肺塞栓症の診断、下大静脈フィルター留置の適応。
②各Filterの特徴とその使用法。
③線溶系に対する十分な理解, 術後の抗凝固療法。
6)門脈系IVR(TIPS, B-RTO他)
施行している手技は、主にB-RTOで年間数例未満である。
①門脈系の解剖、生理、門脈圧亢進症の病態生理の理解。
②塞栓物質の薬理と合併症に対する対策。
7) 緊急IVR
①迅速な術前画像診断。
②適応、禁忌に関しての迅速な判断。
③蘇生法、初期合併症に対する対処法。
2.非血管系IVR
CT下生検
①適応と禁忌。
②穿刺経路の十分な検討(必要であれば造影CTも併用)
③各穿刺針の特徴と使用法。
④線溶系の十分な理解。
⑤蘇生法、気胸、出血等の初期合併症に対する処置法。