【県病だより】身体拘束を減らすために ~看護部倫理委員会の取組~
2023.01.12 更新
青森県立中央病院の看護部倫理委員会では、様々な研修会を行っています。
今回は、昨年行われた「身体拘束」に関する研修について紹介します。
臨床現場では、患者さんの安全を守るため、やむを得ず身体拘束が必要になる場面があります。
しかし、患者さんにとっては好ましい状況ではありません。
身体拘束を少しでも減らすためにどのように取り組めばよいのか?
研修では、参加者15名が4グループに分かれて「身体拘束をする側」「身体拘束をされる側」「身体拘束されるのを見ている側」を体験してみました。
参考(厚生労働省が身体拘束を認める3要件)
- 切迫性
利用者やほかの利用者の生命や身体に危険が及ぶ可能性が高い場合 - 非代替性
身体拘束以外に代替する介護方法がない場合 - 一時性
身体拘束は一時的なものである場合
研修の様子
(両手、両足、体幹を拘束している様子)
(拘束された状態で、体を動かしてみる。)
(ミトンを外そうと試みる)
(起き上がろうとしてみる)
(実際に体験してみて感じたことをアンケートに記入)
参加者の感想
身体拘束をする側
- 苦痛を感じる行為を人にしてしまうという罪悪感があった。
- 人の尊厳を奪ってしまう罪の意識を感じた。
- 自己抜去や転倒してほしくないという理由で、あれこれかこつけて説明している自分に恐怖を感じた。
- できる限り身体拘束をしたくないと改めて感じた。
身体拘束をされた側
- 絶望感を感じる状況だと思った。
- 人として接してもらえないように感じた。
- ミトンが不快、なんとかして取り除きたい、外したい思い。
- 複数人に囲まれ、何をされるのか不安を感じた。
身体拘束されるのを見ている側
- 知人や家族が身体拘束されていたら、悲しさで言葉を失うと思った。
- 外せるときは、少しの時間でも外してあげたい。
- 医療者の立場として安全を考慮して実施しているが、患者さんの立場になると、ストレスがたまり、暴れたくなりそう。
- 一刻も早く解除してあげたい。ただ、看護師なので、拘束の必要性もわからなくもない。複雑な気持ち。
参加者は、それぞれの立場を体験することで、身体拘束の状況を確認できた研修会となりました。
看護部倫理委員会では、様々な研修を通して、より良い看護を提供できるように取り組んでまいります。