バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)について
1 VREって何……?
元々、ヒトの腸に存在している腸球菌属(細菌)のうち、‟特効薬“である抗菌薬バンコマイシンに対する抵抗力(耐性)を獲得した腸球菌族をVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)と呼びます。
健常者の場合、VREが腸内に存在するだけ(保菌)なら、無害・無症状です。術後や抵抗力(感染に対する防御機能等)が低下している場合は、腹膜炎、術創感染症、肺炎、敗血症などの感染症を引き起こす場合がありますので、病院では特に気を付けて対応しなければならない細菌です。
2 青森県立中央病院におけるVREスクリーニング検査の実施状況について
当院では2018年9月のVRE陽性者発生後、対象患者さんに対してVREスクリーニング検査を実施しております。
2019年3月からは、全入院患者さんに対して入院時、転院時及び1週間以上の入院の場合は退院時にVREスクリーニングを実施しております。
2020年6月15日現在のVREスクリーニング検査実施状況及び陽性者数は以下のとおりです。
なお、VREスクリーニングは、2021年3月まで継続することとしており、その後必要に応じて対応してまいります。
御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。
VREスクリーニング検査実施状況及び陽性者数
(2020年6月15日現在)
※発症者はなし
3 患者さんへ
当院では入院患者さんに対して、VREスクリーニングを積極的に行っています。
このスクリーニングで保菌状態を知ることにより、病院の感染対策のみならず、患者さんご自身の健康管理、ご家族・周囲にいらっしゃるご病気の方々に接する際に、予め感染対策※1を講じることに、お役立ていただけると考えております。
※1 食事前の手洗い
排せつ後の手洗い
ご病気の方に接する前後の手洗い
排せつのお世話する前後の手洗い
4 VREの感染管理に関する資料について
当院感染管理室では、『バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)に関わる質問と回答集(第1版)』と『イラストで見るすべての患者さん・利用者さんに必要な感染対策エッセンス集(第1版)』を作成し、2019年9月14日と2019年10月3日に開催した「青森県立中央病院VRE感染対策研修会」で配付いたしましたので、VREの感染対策の参考としてください。
『バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)に関わる質問と回答集(第1版)』の作成にあたっては、八戸市立市民病院医療安全管理室が2019年4月20日に八戸地域で開催されたVRE感染対策講習会での質問を取りまとめたものを、八戸市立市民病院医療安全管理室の御厚意により、当院で一部改編し作成させていただきました。
なお、これらの資料の内容は、すべての御施設に該当する内容ではありませんので、各御施設で内容を検討したうえで御活用いただければ幸いです。
・『バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)に関わる質問と回答集(第1版)』
・『イラストで見るすべての患者さん・利用者さんに必要な感染対策エッセンス集(第1版)』