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外科後期研修医研修内容

Ⅰ.目標と特徴

本プログラムは卒後初期研修終了後の後期研修ローテーションの一環として、外科(一般外科を含め、小児外科、乳腺甲状腺外科、消化器外科)を研修する医師を対象とし、全人的診療の概念を理解し、外科領域における基本的かつ専門的な診療能力を身につけることを目的とする。
 
なお、日本外科学会外科専門医制度による外科専門医認定を希望するものは、学会の定める修練概要によって研修をすすめる。

Ⅱ.研修期間

研修期間は1年から最長3年。それぞれの研修期間中に、外科診療グループをローテートし、経験すべき疾患が偏らないように調整する。
 

1年次 外科的基本手技、低難易度手術
2年次 中難易度手術
3年次 中〜高難易度手術

 
この間に、希望に応じて臨床病理学部、放射線診断部なども選択できる。また、外科専門医を目指す場合は、呼吸器外科、心臓血管外科のローテーションは必須となる。

Ⅲ.評価

研修の評価は定期的に指導医、研修責任者が行い、研修医も自ら自己評価を行う。

Ⅳ.カリキュラム

1.各年度別に経験すべき疾患および習得すべき手術手技と術式

年間手術症例は約700例と多く、外科専門医として要求される術者としての120例、術者または助手としての350例の臨床経験の達成は容易である.
 
後期研修3年間の各年度に到達すべき手術手技などは、各自の熟練度に応じて考慮され、それに応じて主治医となる疾患は異なるが、各年度に習得すべき外科的手術手技・術式は以下の如くである。

後期研修1年次

  • ヘルニア手術
  • 虫垂切除術
  • 腹腔鏡下胆嚢摘出術
  • 胃空腸吻合術
  • 小腸部分切除術
  • 結腸部分切除術
  • 試験開腹術

後期研修2年次

  • 早期胃悪性腫瘍手術
  • 結腸半側切除術
  • 肛門疾患(痔核切除術など)
  • 膵尾側切除術
  • 肝部分切除術
  • 腸閉塞手術
  • 単純な乳腺・甲状腺手術

後期研修3年次

  • 進行胃悪性腫瘍手術(胃全摘術を含む)
  • 直腸癌手術(高位前方切除術、低位前方切除術)
  • 肝外胆管切除術
  • 乳癌手術
  • 甲状腺癌手術
  • 肝亜区域切除

2.一般目標・行動目標

これら疾患の主治医となり効果的な研修を行うために、入院、手術、術後、退院の4つの過程に分けたGIOとSBOsを挙げた。

(1)患者の入院から手術計画を立てるまでの期間をとおして

GIO-1

患者の情報を収集整理し、評価と対策を行いながら、治療計画を立てる一連の過程を理解・習得する

 
SBOs

1)患者、その家族と良好な人間関係を保ちながら病歴を聴取しPOS方式で記録出来る

2)全身にわたる身体診察を系統的に実施し、記録することが出来る

①頭頸部(リンパ節、甲状腺などを含む)

②胸部(乳腺を含む)

③腹部(直腸診を含む)

④四肢(末梢循環を含む)

3)患者の疾患を理解し、どのような治療が必要かを述べることが出来る

4)患者の一般状態を評価し、患者独自の問題点への対策をたてることが出来る

5)手術の前に必要な一般検査の結果を解釈し、対策を立てることが出来る

(末梢血液検査、生化学検査、尿・便検査、動脈血ガス分析、免疫血清学的検査心電図、呼吸機能検査、胸

部・腹部単純X線など)

6)異常な情報について指導医、専門医にコンサルテーション出来る

7)同僚、後輩(初期研修医、実習学生)に教育的指導(屋根瓦式指導)が出来る

8)疾患に特異的な検査を実施し所見を記録出来る

(造影検査、超音波検査、CT,MRIなど)

9)受け持ち患者の病歴・所見を簡潔にプレゼンテーション出来る

10)術前補液、中心静脈栄養法を理解し実施出来る

11)術前処置の必要性を理解し実施出来る

12)保険制度や医療経済も考慮した治療計画を立てる事が出来る

(2)手術(入室から病棟に帰るまで)をとおして

GIO-2

手術における消毒操作、局所解剖や科学的根拠に基づいた手術手技を習得する。

 
SBOs

1)患者を安全に手術室に搬送出来る

2)安全な手術体位をとることが出来る

3)手術に必要な特殊機器を理解し使用出来る

4)予防的抗生剤の選択と使用時期を指示出来る

5)術野を消毒しドレーピング出来る

6)皮膚切開、その止血(用手的、電気メス)を行う事が出来る

7)汚染創の外科的処置を実施出来る

8)開腹・開胸に必要な解剖を理解し実施出来る

9)脈管の結紮・切離法を実施出来る

10)局所解剖・臓器の生理機能の点から各々の手術操作を実施出来る

11)術野を展開するために助手として協力できる

12)術野の洗浄・ドレーン留置の原則を理解し実施出来る

13)閉腹・閉胸を実施出来る。

14)安全に病棟まで搬送出来る

(3)術後早期において

GIO-3

術後管理法、手術記録の記載法を習得するとともに、術後合併症について理解しそれらへの対処法を習得する

 
SBOs

1)術後輸液、輸血、抗生剤、鎮痛剤などの投与法を理解し指示出来る

2)術後vital sign を評価し指導医にコンサルテーション出来る

3)手術所見を記録することができる

4)術後の血液検査・画像所見を評価し、それらの所見や術後経過をPOS方式で記録することが出来る

5)術後の創処置(消毒・ドレッシング・抜糸など)を行うことが出来る

6)ドレーン排液の性状や量の異常を解釈し指導医にコンサルテーション出来る

7)胃管、膀胱留置カテーテル、ドレーンを管理出来る

8)ベッド上での体位変換、喀痰排出、離床を介助出来る

9)術後合併症とその治療法について指導医にコンサルテーションし対処出来る。

10)術後経口摂取時期を指示出来る

(4)退院にむけて

GIO-4

患者背景を考慮しfollow upを含めた退院計画法を習得する

 
SBOs

1)退院を前に起こりうる合併症について注意を払うことが出来る

2)退院時期について説明することが出来る

3)QOLを考慮に入れた外来での治療計画を立てることが出来る

4)薬物療法の必要性と投与方法、副作用を理解し実施出来る

5)手術報告書、診断書、証明書、医療情報提供書を作成し管理出来る

6)退院時summary(follow up計画を含め)を作成し管理出来る

3.日本外科学会外科専門医制度による外科専門医認定制度について

日本外科学会指定施設での一定以上の修練期間(卒後初期研修期間を含んで「通算5年以上」が必要であるが、呼吸器外科、心臓血管外科など各関連外科(サブスペシャリティ)の基礎部分(共通総論)を包含した研修が必要とされる。
 
①日本外科学会ホームページからの修練実施計画のオンライン登録

②修練開始後満4年以上を経た段階で予備試験(筆記試験)

③予備試験に合格後、修練開始満5年以上を経て、規定の修練をすべて経験した段階で認定試験(面接試験)

(a)診療経験

最低手術経験 350例 術者として120例

消化管および腹部内臓 50例
乳腺 10例
呼吸器 10例
心臓・大血管 10例
末梢血管 10例
頭頸部、体表、内分泌外科 10例
小児外科 10例
各臓器の外傷 10例
鏡視下手術 10例

(b)業績

論文、学会発表など、定められた基準により20単位が必要

例)日本外科学会での発表 20単位、全国外科系学会 15単位

日本外科学会誌 20単位、外科系学会誌 15単位

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