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院長あいさつ

ご挨拶-県立病院としての使命を果たすため、疾患特異的な体制(センター化)へ-

病院長(青森県病院事業管理者)  吉田 茂昭

病院長(青森県病院事業管理者) 吉田 茂昭 わが国の医療体制は、各診療科単位の縦割り構造を基本としており、大学病院から中小病院に至るまで、ほぼ同じ概念で運営されております。その理由は、明治以来わが国が医学の範としてきたドイツ流の考え方、すなわち、内科や外科といった治療手段による分類や、眼科、耳鼻咽喉科、婦人科といった臓器別の分類が、研究分野を含めて医学の専門性を深化させる上で好都合であるという考え方にありました。しかし、1960年頃より、わが国においても疾病対策の観点から米国流の考え方、すなわち疾患特異的に各診療科の力を結集する集学的治療の重要性が認識されるようになり、国立がんセンターや国立循環器病センターなどのナショナルセンターが新しい医療モデルとして登場して参りました。この医療モデルはその後自治体にも引き継がれ、今日では全国各地に各種のセンター病院が設立されるなど、医療提供システムの多様化が進んでおります。

この様な中、青森県立中央病院は平成20年4月1日をもって院内組織を大きく改編致しました。その理由は、平成17年度に策定された県立病院改革プラン、同19年度に策定されたアクションプラン、更には、これに引き続き、院内で検討された様々なワーキンググループからの献策などにより、従来の縦割りの診療体制から、疾患特異的な体制(センター化)への転換を図ることとしたためです。

 

NICU   改革プランやアクションプランで最も問われた点は、「県立病院が何のために存在するか」という根源的な使命を明らかにすることでした。つまり、単に全科を揃えた総合病院というだけでは、他の病院との違いが明確でなく、「県民の税金を投入するに値する使命とは何か」、との問いかけに十分答えられません。この点について職員を含め様々なご意見を頂きましたが、最終的に、県立中央病院が主たる使命とすべきは、先ずは全国最短命県の返上に向けた三大死因の克服、次いで県の医療計画の中核を占める「4疾病5事業」、すなわち、(1)がん、(2)脳卒中、(3)急性心筋梗塞、(4)糖尿病の4疾病、(1)救急医療、(2)災害時医療、(3)へき地医療、(4)周産期医療、(5)小児医療の5事業において基幹的な役割と責務を果たしていくことではないかとの結論に至りました。

 

キャンサーボード   その具体化の第一歩として平成19年12月に大規模な病棟再編を行い、平成20年4月の組織改編により、三大死因の克服として「がん診療センター」「循環器センター」「脳神経センター」の三つのセンターを立ち上げ、次いで、平成22年1月から「糖尿病センター」を立ち上げることで、4疾病に対する拠点の整備を完了致しました。また、5事業につきましても、既に平成16年より開設されていた「総合周産期母子医療センター」に加え、小児医療では小児センターの開設という将来構想を視野に入れながら、専門分化に対応すべく日常診療の幅を拡げつつあります。また、平成23年3月には救命救急センターの増築工事が竣工予定であり、ドクターヘリの運航とも相まって、救急あるいは災害時医療の拠点としての機能を担っていくこととしております。また、へき地医療につきましても、平成22年度から総合診療部の機能強化による医療支援が開始されております。さらに、現在5事業には入っておりませんが、整形外科とリウマチ膠原病内科等による運動器診療ユニットの開設も、既に将来構想の一翼に想定しております。

 

 

キャンサーボード   センター化が何故新しい医療モデルとなり得るのかと申しますと、これまでのような診療科単位ではなく、「ある一定の疾患や病態を診療する場(=診療センターや診療ユニット)に複数科の医師が参加することで最良の治療方針を決定し、専門的なコメディカルとも連携しながら、病態に合った治療やケアを受けられる様にする」ことが可能となるからです。

 

当院の場合、総合周産期母子医療センター以外の各センターは設立後間もないこともあり、必ずしも十分にその機能を発揮しきれているとは申せませんが、例えば、がん診療センターでは各科からなる連絡会議、キャンサーボード委員会、運営幹事会などが設置され、各科横断的な運営が日常的に展開されております。また、各センターでは認定ナースや専門ナースの活躍の場が広がり、また、超音波検査、リハビリテーション、臨床工学、放射線物理学など、様々なコメディカルの方々のactivityに大きな期待が寄せられております。

 

診療機能の充実は第一義的な使命ですが、同時に、「経営の健全化」も一方の重要な使命です。このため、平成19年度からは地方公営企業法を全部適用(病院事業管理者、病院局の設置)することと致しました。また、平成20年度には、二つの県立病院の事務部門を統廃合し、運営部という一元的な組織の下で指揮命令系統を明確にするとともに、各課の所掌事務を整理致しました。その結果、病院の多様な経営状況に対して即応的な対策が可能となり、センター化の効用とも相まって、平成19年度以降はこれまでの赤字基調を脱し、累積赤字の解消に向かいつつあります。

 

県病医療連携フォーラム   これまでの診療システムでは、患者さんが一人の医師(主治医やかかりつけ医)に全てを委ね、その信頼関係や人間関係の延長線上で様々な医療行為を受容するという、「院内完結型医療」が主流となっておりました。しかし、最近は様々な診療モデルが登場してきており、患者さんが各医療施設の特色を上手に利用しながら、病態にあった診療を受けていく、「地域完結型医療」が望ましい医療システムとして登場しております。当院が政策医療(4疾病5事業)に特化すればするほど、今まで以上に医療連携がその重要度を増して参ります。その充実を図るには地域における医療施設間の意思の疎通が不可欠となります。このため、平成21年度より「医療連携フォーラム」を立ち上げましたが、今後はこうしたプログラムを基盤としながら、医療従事者同士が垣根の低い交流を積み重ねていくことが必須と考えております。

 

県立病院改革は未だ緒についたばかりで課題は山積しておりますが、スタッフ一同、現状にこだわらず、夢と誇りを失わず、常に未来に向けた課題の克服に向け、熱い思いをもって邁進していく覚悟です。関係各位におかれましては、倍旧のご理解、ご支援、ご鞭撻を賜りますよう、衷心よりお願いを申し上げ、ここに挨拶とさせて頂く次第です。

 

臨床研修医の皆さんと院長

臨床研修医の皆さんと院長

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